
近畿大学が世界で初めて成功した完全養殖クロマグロ。
近大マグロの取り扱いは関東エリアのスーパーマーケットではOdakyu OXだけです。
※一部取り扱いのない店舗がございます。
価格:部位によって異なります。取り扱い店舗にて確認ください。


迫り来る水産資源の枯渇への危機感から研究が始まった「完全養殖クロマグロ」は、稚魚や若いマグロから一定期間育てた「養殖クロマグロ」ではなく、人工孵化から育てた親マグロから採った卵から稚魚を育て,成魚まで養殖したもの。そしてその中から優秀なものを親にしてこのサイクルを繰り返す、天然資源に依存しない養殖です。2002年、クロマグロの完全養殖に世界ではじめて成功した近畿大学大島事業場は、温暖な気候の和歌山県串本町にあります。串本の海は冬でも水温が14度までしか下がらず、夏は高くても27度程度と、安定した水温。酸素が豊富な美しい海に作られた直径30メートルの生け簀で、のびのびと育てられています。
「近大マグロ」は、2002年の成功から世界最先端と言われる日本の養殖技術を駆使し、進化を遂げてきました。現在は、脂乗りや香りが良く、天然物に匹敵する安定した品質の完全養殖クロマグロが生産されています。
近畿大学がクロマグロの完全養殖に取り組み始めたのは、1970年。40年以上のノウハウが養殖工程に詰め込まれています。
まず完全養殖のためには、卵を確保しなければなりません。マグロの産卵期は夏で、24度以上の水温が必要なため、温暖な奄美大島にある事業場で採卵を行います。卵の状態で孵化しないように輸送し、陸上の水槽で孵化させます。以前は孵化後10日で90%以上が死んでしまいましたが、現在は60~70%まで死亡率を抑えることができるようになりました。約1ヶ月後に5~6cmまで育ったころ、水槽から海上の生け簀へ移動しますが、孵化の2週間後あたりから、共喰いやエサを食べそびれる稚魚が出てきて、弱肉強食の状態となります。そのままにしておくと稚魚は減っていく一方なので、起きている間は自動給餌機も利用してひたすらエサを食べさせ続けるなどの工夫で、できる限り減少を抑えています。
現在は、近畿大学の事業場全体で、孵化した稚魚が成魚になる確率は約1%。天然マグロの生存率は2000万分の1の確率と言われていることを考えると、驚異的な生存率を達成しています。
「近大マグロ」として出荷されるのは、近畿大学および豊田通商の養殖場で最後まで育ったクロマグロのみ。マグロは非常に食欲旺盛で、大量のエサを必要とします。成長に伴って食べる魚は変わっていき、1歳になるとアジ中心、2歳以降はサバ中心に育てられます。
さらに、与える餌や育て方によって脂身や赤身を調整する高度な技術を駆使して、天然物に劣らない味わいを実現しています。
大事に4年間育てられたクロマグロは、水揚げ時の処理も徹底しています。和歌山で昔から行われてきた天然マグロのはえなわ漁と同様に、水揚げされたら1分以内に血抜き、ワタ抜きの処理を行い、すぐに氷詰めされます。マグロは暴れることで体温が上がり、焼けやシミの原因となるので、ダイバーが潜って電気ショックを与えて気絶させた状態で引き揚げ、品質が低下することを防いでいます。
-「近大マグロ」ならではの特徴は?
他の魚種の養殖は配合飼料が多く使われているのですが、マグロ用配合飼料は開発途上。近大では配合飼料の開発を進めていますが、現在のところサバやアジなど新鮮な生餌を中心に育てています。
また、養殖とはいえ生き物が相手で、自然の海の中で育てるわけですから、生育方法やエサは同じでも最後の仕上げは職人技のようなところがあり、そこは1970年からクロマグロの養殖を手がけてきたノウハウが生きる腕の見せどころですね。
-ノウハウを得るまで、試行錯誤を繰り返したのでは?
世界初のチャレンジですから、最初は悪戦苦闘の連続でした。手始めに天然の稚魚を採卵のため、親の魚に育てることから始めましたが、数ヶ月で全滅してしまいました。その後、やっと生け簀内での産卵に成功をしましたが、卵を産んでくれない年もありました。
また孵化して2週間ほど経つと、共喰いが始まって、弱い稚魚はどんどんいなくなり、そのままにしておくと半減してしまうほどなんです。それを避けるために、稚魚の大きさに差が出始めたら徹夜で大きさごとに別の水槽にすくい分け、さらに起きている間はお腹いっぱいにさせるために、稚魚の活動時間と同じ、夜明けとともに人間も起きて、夜が更けるまで、ひたすらエサをあげ続けていました。当時は人の手だけで育てていたので、困難が立ちはだかると、ひたすら人力でなんとかしていましたね。今は自動給餌機を使ったり、人の手を徐々に自動化して、安定した飼育ができるようになりました。
マグロは、大きい方がおいしいと言われています。そのため、味の向上を目指し、現在は養殖して4年のものを40~60kgのサイズで出荷していますが、今後はこれを1年延ばして5年で70kg以上のものを出荷できるように検討が進められています。
また、水産資源のことを考えると、エサとなるサバやアジも大事な資源のため、エサとなる魚をいかにして作るかを考える必要があります。まずはマグロに適した配合飼料を開発し、次には天然魚から作る魚粉に頼らない蛋白源に代替えしていくことも検討されています。
「未来の漁業」は、クロマグロの完全養殖のサイクルだけでなく、エサとなる魚も完全養殖の体制を整え、すべてのサイクルで人工飼育することを視野に入れ、進化を続けています。
アーマリン近大さんでは、慎重に商品育成に取り組んでおり、出荷量をむやみに増やすことはせず、取引先も厳選しています。私たちOdakyu OXは、もっとみなさまにお買い求めいただけるように販売量を増やしたいところですが、アーマリン近大さんの考えに共感し、限定日での販売とさせていただいております。お互いに支え合いながら、一歩ずつ発展していければと考えています。
近畿大学が世界で初めて成功した完全養殖クロマグロ。
近大マグロの取り扱いは関東エリアのスーパーマーケットではOdakyu OXだけです。
※一部取り扱いのない店舗がございます。
価格:部位によって異なります。取り扱い店舗にて確認ください。